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あいちコミュニティ財団の「今後に向けてのご報告」を読んで

2018年度の前半、世の中ではたくさんの不祥事がありましたけれど、例えば、日大アメフト部の悪質タックルをめぐる騒動をみながら、わたしはいつもあいちコミュニティ財団のことを考えていたように思います。

 元監督の自身の行いを全く内省できていないのだろうなと思わざるをえない謝罪も、逆ギレしていた司会者も、後手に回り続けた組織の対応も、不祥事を起こした、不祥事が起きてしまった組織というのは、ここまで相似形になるものかと暗澹たる気持ちになっていました。。。

 

昨日、あいちコミュニティ財団から「あいちコミュニティ財団の今後に向けてのご報告」が公開されました。

aichi-community.jp

 

 十分なものだとは全く思いません。この度の出来事に対して、誰がどの程度詳細な状況を把握して、どのくらいの危機感をもって今回の発表に至ったのかがわからないので、そのあたりのもやもやは残ります。

 

主な疑問点は二つ。
【1.部門別の会計が行われていなかったってマジか!】
→このことを公表してくださったこと自体には敬意を表します。ただ、お金を預かる団体としてはもちろんのこと、NPOや団体を支援する団体としてもありえないことだと思います。なぜそのようなことになってしまったのか、その結果どのような会計処理が行われていたのかということについては、今までの発表の中でも言及がありません。その点は、曖昧にせず、公開されていくことを望みます。

 

【2.財団の今後の立ち位置(理念と姿勢)まだ不明確】
→本当の意味での方針は、まだ明示されていないと感じています。例えば、社会的なしくみづくりを担うのか、寄付者の代弁者になるのか、団体を支援する機関なのか、というようなことです。今回、この3つの立場が矛盾したときに、バランスのとれた良き選択ができなかったことが不祥事の大きな要因になっていると感じています。ステークホルダーの意見を聞くことは大事ですが(聞かないよりはずっといい)、でも、その一番の魂の部分をステークホルダーに聞く、というのも無責任に思えます。担われる方の中でしっかりと検討し、示していただきたいと思います。

 

上記の言葉は、設立時の理事であった、またその後も様々な仕事を財団とご一緒させていただいてきた自分自身に大きく刺さります。

 

設立時、不祥事が起こった時よりはずっと事業はシンプルで、状況は把握しやすかったとはいえ、不祥事につながるような労務管理の問題、支援先の団体さんへのふるまいの問題、当時の職員の方とのコミュニケーションの問題など、不祥事につながる萌芽はあったし、大丈夫かな…感じていました。その都度、できる限り、財団や前代表に働きかけたり、理事会で意見はしてきたものの、もっともっと声を上げなければいけなかったのではないか、という自責の念は常にあります。そして、声を上げられなかった理由が、「組織としての成長を待ちたい」という想いももちろんあったものの、「あんまり言いすぎると逆に聞く耳を持ってもらえなくなるのではないか」とか、「現在急成長している組織にあんまりごちゃごちゃ言って面倒な人だと思われたくない」という気持ちがあったことも事実です。今回の出来事に関わってしまった人間として、この想いは、忘れることなく、背負わねばならないと思っています。

 

奇しくも、ちょうど昨日、日大アメフト部に関しては、関東学連が公式戦復帰を認めないことを発表しました。
わたしたち非営利組織の世界は、幸か不幸か関東学連のような、復帰を認めたり認めなかったりする機関は存在しません。だからこそ、これから関わる一人一人、過去に関わってきた一人一人が、判断するしかない、ということだと思うし、その判断の積み重ねが地域の未来を決めていくのだと思います。

 

今回の発表も、いろんな方がいろんな思いで受け止められたり、受け止められなかったりしたことと思います。
発表に至るまで、力を尽くされたり、尽くさなかったり(?)した方もいらっしゃることと思います。
不十分とはいえ、では、もし自分自身が財団の中でこれを発表する立場だったらどこまでのことができただろうか、とも思います。この度の発表に尽力されたみなさまには心からの敬意を表したいと思います。

 

今回の発表を、これまで財団に関わってきた、応援してきたすべての人が、【自分の中にある財団的なもの】に向き合い、こうしたことが二度と起こらないために、あるいは、起こったとしても誠実に対応するためには、どうしたらいいのかを改めて考えるきっかけになればと願っていますし、自分自身、そうしていきたいと思います。